最近、上越近郊で話題になっている「しっとり炒飯」。ひょっとしたらもう食べたという人もいるかもしれません。炒飯と言えば、ご飯粒同士がくっつかない、いわゆるパラパラの炒飯をイメージをされる方が多いと思いますが、今回取り上げる炒飯はパラパラとは逆をいく”しっとり”。決してベトベトではありません。しっとりに着眼した炒飯とは……? 上越商工会議所で話を聞いてきました。
教えてくれたのは上越商工会議所青年部で、しっとり炒飯を広めようと奮闘している「しっとり炒飯認定員」の小嶋宏志さんです。
左:小嶋宏志さん(眼鏡にレンゲが炒飯認定員のスタイル)右:取材した越後上杉 おもてなし武将隊
この企画は炒飯好きの小嶋さんのある気付きから始まったということです。
小嶋宏志さん
「県外で食べた時に、全然しっとり感が違う。パラパラ感が良いとされている炒飯ですが、市内で食べる炒飯は全部しっとりしていました。ほかの人に話したら、同意をえられたので、だったら県民、市民は気付いていない。普段食べているチャーハンはしっとりだということを、出していこうと」
小嶋さん
「上越産のコシヒカリ、こしいぶきといった水分の多いごはんで作られた炒飯を『しっとり炒飯』と名付けて、新ブランドして打ち出していこうという企画です」
定義は以下の4つです。
■上越地域のソウルフードとしてしっとり炒飯を打ち出していただけるお店
■上越産のお米を使用していること
■チャーハンと上越を愛してくれていること
■真面目におもしろくこの企画を理解していただけること
上記にあてはまる店を認定し、みんなで宣伝して上越地域を盛り上げていこうというのがこの企画の趣旨です。
小嶋さん
「上越商工会議所にご連絡いただいたり、インスタ、YouTubeから問い合わせいただくと、判定員がお店に食べに出向きます。そこで『しっとり』だと認められたお店に認定書を発行しています」
また、覆面調査員が市内各所を巡って店をリサーチし、調べた情報を随時会議にかけて情報を共有。一般からの「ここぞしっとり炒飯!」という情報も募集しています。
現在、市内で認定されている店は10店舗あります。認定店には「のぼり旗」が設置され「ポスター」が貼られています。
認定店のひとつ、上越市土橋にある「やまだラーメン」です。2年ほど前に店主が代替わりし 現在は小山夢人さんが地域で愛されてきた味を守り続けています。おすすめの「しっとり炒飯」があるということで…。
やまだラーメン 店主 小山夢人さん
小山夢人さん
「具材がいっぱい入っていまして、香りが豊かな炒飯です」
チャーハン 850円(税込)
ご飯には、板倉の農家が育てる上越産の「つきあかり」を使用。コシヒカリと違って粒が大きめで、水分量もちょうどよく、みずみずしくて食べ応えがあります。
小嶋さん
「覆面調査員が食べに来たところ、ふっくらしたごはんで、しっとりした、いわゆる五目炒飯になっていて、ふんわりとした優しい炒飯ということで認定させていただきました」
小山さん
「認定されて素直にうれしいの一言です。昔からやまだは炒飯がおいしいと有名だったので、僕が引き継いでもそれは無くさないように出しています。炒飯は温度調整が難しく、火を入れすぎるとぼそぼそになってしまうので。中華鍋を振って温度調整を…」
具材はシイタケ、タケノコ、チャーシュー、ネギが入ります。そして、味の決め手となるカニの身をたっぷりと加えていきます。
小嶋さんも大絶賛の炒飯は、ふわっと香るカニの風味が食欲をそそります。一口食べれば、口の中で色々な具材の味が広がり、パラパラチャーハンとは違うのがすぐわかるそうです。
小嶋さん
「今後はプレゼント企画とか、炒飯にフォーカスを当てながら、新たな魅力を発信できる企画を考えていければと思います」
やまだラーメン
■上越市土橋1595-2
■電話:なし
■営業時間:11:00~14:30/17:30~20:30
■定休日:火曜日(祝日の場合 水曜)
新規の認定店がどんどん増えていくということですが、取材を続けると、認定の瞬間に立ち会うことができました。
やって来たのは、上越市栄町 にある「えぷろん亭」です。
創業25年、地域に根付いたいわゆる町中華店です。家族で楽しめるようメニューは豊富。えぷろん亭の前身となる新華楼時代からの常連も絶えない店で、にいがた安心なお店応援プロジェクトにも認証されています
えぷろん亭が提供するチャーハンは、最後にしょうゆだけを使ったシンプルな味付け。はたして、認定となるか……?調査員、小嶋さんの目が光ります。
店主 横田謙一さん
「はい、お待たせしました」
小嶋さん
「おお!いただいてみましょう。しっとりチャーハンは崩れないんですよね、いただきます!まさに!しっとりふっくら。おいしいです。味の決め手は?」
えぷろん亭 店主 横田謙一さん
横田さん
「一番は火力です。手際よく。あんまり時間かけるとべったりになる」
小嶋
「べったりとパラパラのちょうど中間を狙って?」
横田
「そうです」
小嶋
「こちらはどちらのお米を使っていますか?」
横田
「高士地区で栽培されているコシヒカリです」
小嶋
「やっぱりコシヒカリのもっちりとした、そしてしっとり、ふっくらとした味わいが出ていますね。上越のみなさんにどんなPRをしたいですか?」
横田
「上越でもおいしいチャーハンが食べられるということを、家庭ではできないチャーハンをたべに来てもらえるようPRしたいです」
小嶋
「それでは総合的に判断いたしまして、こちらのえぷろん亭さんのチャーハン、しっとり炒飯のおいしいお店に認定します!」
横田
「とてもうれしいです。ありがとうございます」
ちなみに、えぷろん亭ではメニューのリニューアルを進めていて、チャーハンの名前を「しっとり香ばしチャーハン」に変更しようと考えていたところでした。そのタイミングでこの企画を知り、ぜひ仲間入りさせてほしいとエントリーしたのです。
小嶋
「ナイスタイミングだったということですね。リニューアルしたあかつきには、しっとり炒飯という商品名が入るということですね。上越名物のしっとり炒飯の名前が刻まれるということで最高ですね」
上越商工会議所では、現在、しっとり炒飯の新規認定店を募集中。自薦、他薦は問いません。また、われこそは認定員だ!という有志も募集しているそうです。気になるかたは、チェックしてみてくださいね。
えぷろん亭
■住所:上越市栄町1-4
■電話:025-524-4295
■営業時間:10:00~14:00/17:00~21:00
■定休日:月曜日